厚生保健委員会視察 尾道市
 公立みつぎ総合病院
 
平成21年10月14日(水) 

 

◎公立みつぎ総合病院(地域包括ケアシステムについて)

〔説明者〕院長 向井憲重 氏

○施策の概要

 「命を助けると寝たきりがふえる」という病院医療の現実を直視し、待ちの医療ではなく、医療の出前(在宅治療を進める)という方針に至るが、そこに行政が行っている福祉の壁が存在した。

 地域包括ケアシステムは、ハードとソフトを含めた保健・医療・福祉(介護)の連携システムであり、施設(医療・介護・福祉)ケアと在宅ケアとの連携システムでもある。施設ケアと在宅ケアとの連携には、緩和ケア病棟と在宅ケア緩和ケアとの連携、回復期リハビリ病棟と地域(在宅)リハビリとの連携、介護保険施設(介護老人保健施設など)と在宅ケアとの連携があり、これらの連携は、「点」から「線」、「線」から「面」へという地域連携へ向かうことが求められ、行政と専門職のみではなく、地域住民をも含めたネットワークが必要とされるが、当地域においては、長期的な取り組みによって、地域ぐるみの包括ケア体制が確立されている。

○施策の有効性(視察先の状況、本市として活用すべき点)

・ハード、ソフトの両面が整備されている
・黒字経営となっている(高い病床利用率、医療機器を買いたたく、介護保険制度の活用等)
・医療・介護を包括する中で、医療に係る診療報酬の減額改定の影響を受けにくい
・施設(病院施設、市施設、介護保険施設等)が地域的に集約されている
・日常的な交流によって、住民のニーズを把握している
・在宅寝たきり老人の割合(昭和55年:3.8%⇒平成19年:1.2%)が減っている
・高度医療の充実、IT化(オーダリングシステム等)がされている
・病室のほとんどが、ユニット化(1人部屋等)されている
・治療等を求めての遠方からの移住もあり、地域の活性化に結びついている
・大きな費用を必要とする一括的な工事は行わず、起債を最小限にしている
・地域の開業医(3医院)との連携がとれている
・福祉バンク(ボランティア貯金)が整備されている

○施策の課題

・施策の導入に当たって、ハード、ソフト面の早急な整備が難しい
・他都市の状況と同じく、医師の確保に苦慮している面がある
・トップの考えが施策に大きく影響する

○今後に対する見通しまたは意見

 地域包括ケアシステムは、規模の小さい自治体における地域的な取り組みではなく、どこの自治体においても導入できる施策と考える。
 システムの核となる公立総合みつぎ病院は、公営企業法全部適用により運営されており、地方独立行政法人よりも、人事、予算における行政の影響力は大きいが、その理念の説明や黒字経営によって、行政の病院への信頼は高いものになっていると想像できる。
 当地域のシステムは長い期間をかけ、病院が主体となって構築されたものであるが、病院、行政、地域住民の意思疎通を第一義的なものと考える中で、住民の保健福祉を担っている行政がイニシアティブをとることも必要と考える。